認知症の方は突拍子もない言動をすることもしばしばです。ですから、看護師の中には認知症の患者に振り回されて、困ってしまう人もいるでしょう。特に、認知症になると自分の感情のコントロールがうまくいかなくなりがちです。

このため深夜や早朝お構いなしで大声で泣いたり叫んだりすることもあります。この場合、他人の迷惑にならない限りはそのままにさせてあげましょう。また、怒っているときには自分に非がなくても謝るなどすれば、興奮が収まりやすくなります。

また、認知症ケアで難しいのは、わがままを言う、暴言を吐く患者も少なくない点です。看護師の中には日々罵詈雑言を言われるなどで気持ち的に疲弊してしまう人も少なくありません。この場合は話題を変えてみるといいでしょう。

とりあえず興奮状態であれば、その興奮を鎮めるために一通り相手に好きに言わせましょう。そして興奮が落ち着いてきたところで「ところでさ…」のように話題を変えてしまうのです。そうすれば、怒りのポイントから目がそれます。変に言い返そうとすると、相手が意固地になってますます興奮してしまい逆効果になる可能性が高いです。

認知症の症状で多いのが自分の物が盗まれたという妄想です。記憶障害があるので、あるものを置いた場所を忘れてしまいます。しかし、置いたこと自体の記憶がすっぽり抜けるので、「誰かにとられた!」と思ってしまうわけです。身近な看護師にも疑いの目を向けるので、まずは相手の話を聞き「それは困りましたね」と共感して、一緒に探す姿勢を見せましょう。「自分じゃない」と反論すると逆効果です。